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チベット問題について ノルウェー政府へのアピール

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2002年1月11日
ノルウェー(SFT Students for a Free Tibet)

ノルウェー外務大臣 ヤン・ペテルセン様

50年以上にわたるチベットの中国支配が、チベット文化の破壊やチベット人民の災いの原因となっています。また、チベット人の50年にわたる非暴力による抵抗は、国際的な注目を集めてきました。しかしながら、国連をはじめ国際機関によるチベット人への援助はわずかしか行われていません。

チベット人は、(国際的な)関心の低さにより、多くのものを失いました。また、現在でも、文化破壊、環境破壊、経済的搾取、民族差別、政治的抑圧等多くの深刻な問題に直面しています。

チベット人は強い不満を、デモ、独立を求めるポスターやパンフレットの配布、また、最終的には亡命という形で表明してきました。この50年間、チベット人は中国による不法なチベット占領の非暴力的な手段での解決を信じてきました。チベット人は、相互理解と対話を呼びかけてきました。しかし不幸にして、今日までチベット人の訴えは中国政府や世界中の多くの国々には、真剣に聞き入られることはありませんでした。

チベットの文化的伝統は、仏教の理念と実践により形成されています。しかしながら、中国政府は、宗教の自由を保証するという約束をはたしておらず、また、ダライ・ラマの写真を掲げることを禁じています。
加えて中国政府は、(チベットの)寺院に対し、1996年以来の「社会主義教育キャンペーン」をはじめ、多くの締め付け政策を実施しています。元・中国共産党西蔵(チベット)自治区委員会書記の陳奎元氏は、仏教はチベット文化において「外国からの影響」であり、チベット開発の障害になると語りました。
また、彼は過去に、チベット語教育は「社会主義」への移行に不可欠であったが、チベット人が中国語を習得した現在、チベット語教育は不要であると語っています。このような人物をチベットを統治の任につける中国政府に、宗教の自由やチベット文化の尊重を期待することができるでしょうか?

中国政府は、これまで一度もチベット文化や独自性の保存に本物の興味をみせませんでした。最近東チベットで起こった事件で明らかなようにまったく反対の行動をとっています。東チベットの事件とは、チベット仏教の学習と実践で有名なセンターから僧や尼僧(チベット人、モンゴル人、中国人)が追放されたもので、センターは後日閉鎖され、責任者は逮捕されました。その責任者は行方不明のままで、多くの僧や尼僧も逮捕され拷問にあい、わずかなものだけがインドに亡命することができました。

中国政府は、チベット開発に責任があると表明しています。しかしながら、チベットを訪れる誰もが目にするるように、マスメディアでのチベットの「開発」という中国の主張と現実に行われていることには、大きな違いがあります。中国政府によるチベット開発の結果は、森林破壊から水源汚染に至るまで地元チベットの利益となるもではありません。これに反して、多くの中国人が、北京の中央政府の奨励の有無に関わらず、チベットに入植しています。
現在、チベットで見られる近代的な設備は、主に中国人入植者と地元共産党関係者の利益になるものだけです。中国人のほとんどが都市部に居住しており、大多数のチベットは遠隔地に居住しています。この二つの民族の間には大きな相違があります。

都市部では、電気、交通機関、通信手段等の設備を利用することができますが、チベットの遠隔地では、ほとんどそのような設備はありません。21世紀の始まりである今、何百もの世帯が、電気、道路、医療サービス、電話や郵便制度もない土地で暮らしていることを想像することは難しいと言えます。しかし、これが現在のほとんどのチベットの生活の現実なのです。
都市部においても、チベット人と中国人の生活状態には、大きな違いがあります。中国人居住地区は、全体的にチベット居住地に較べ整備が進んでいます。現在、中国政府はラサまでの鉄道を建設中ですが、チベット遠隔地への道路の整備状況はいまだに改善されていません。
これは、中国政府が中国本土からの中国人入植者の促進、チベットの天然資源開発の強化、チベット人支配のための軍事力増強を目的としているからです。 中国政府は、チベットの鉱物資源やその他の天然資源の採掘により、チベットを搾取しています。そして、チベット人の安全を考慮せずに、チベット高原に核廃棄物を投棄しています。チベット地域での無責任な核廃棄物の投棄は、長期的には、チベット人だけではなく、近隣の南アジア、東南アジアの国々の人々にも重大な影響を及ぼすことでしょう。

過去50年間、政治的抑圧が、チベット支配の道具として用いられてきました。また、投獄と拷問が、共産党支配に反発する人々に行われてきました。この間も宗教はチベット人の生活にとって重要であり、中国政府は、政治的目的のために、宗教を利用してきました。無神論である中国政府が、活仏の転生認定に介入したのもそのためです。また、寺院の僧と尼僧の数も制限されています。

アムネスティー・インターナショナルの複数の報告により、チベットでは裁判なしの投獄や、自白を強要するための拘留中の拷問が日常的に行われていることが確認されています。これらの報告によるとチベットでの人権状態は、悪化しています。これは、昨年1月に発表された、欧州連合とアメリカ国務省の中国における人権報告においても明示されています。これらの信頼できる情報は、現在チベット内でなにが起きているかを明らかにしています。

チベットのこのような危機的な状況の中で、我々は、ノルウェーを含む国際社会に支援をもとめます。ノルウェーは、中東、グアテマラ、バルカン半島、キプロス、スリランカ、コロンビア等多くの紛争地域での平和貢献に取り組んできました。また、ノルウェーは、中国との間で人権問題について交渉をおこなっており、過去には、亡命中のチベットの宗教と政治の指導者であるダライ・ラマ法王にノーベル平和賞を授けました。また、ノルウェーが国連安全保障理事であることにより、チベットのような不運な国についての表明が真摯に受け取られるでしょう。

中国がパキスタンへの支援や大規模な軍事力と核兵器をチベット高原に展開にすることにより、インドを威嚇する限り、インド亜大陸における軍拡競争は続くことでしょう。チベットは、世界でもっとも人口の多い2つの大国の潜在的な緩衝地帯となる地理的な場所にあります。このように、チベットの安定は、アジア地域の安定と平和に貢献することとなります。

我々は、ノルウェー政府に対し、国連人権委員会や国連総会等の国際的な場でチベット問題,北京とダライ・ラマ法王との対話の促進を提起することを求めます。チベットに残された時間は多くありません。今すぐ、行動をおこしてください。

ありがとうございます。

タシ・ニマ
ノルウェーのチベットコミュニティの代表として
ステューデント・フォー・ア・フリー・チベット(ノルウェー支部)
ノルウェーチベット委員会
カルマ・タシ・リン・仏教センター